『首都感染』 高嶋哲夫著。
中国に端を発した強毒性H 5 N 1鳥型インフルエンザが全世界に、そして日本にパンデミックを巻き起こします。 首都東京だけで感染者420万人。死者58万人。致死率 実に60% 桁違いな感染力と致死力を持つこのインフルエンザに対して人間は如何に対抗し得るか。 人命尊重と経済的要請の間で判断は揺れ動く。
実はこの作品 2010年に発表されたものです。 まるで今日(こんにち)を予見したかのような記述があちこちに見受けられます。 「濃厚接触」、「PCR検査」などのコトバが当たり前のように出てきます。驚くばかりです。
感染を食い止めるため、ついに首都圏のロックアウトまで強行します。果たしてどういう展開が待っているのか。 また、結末のみならずそこに至る紆余曲折の過程も大変読み応えがありました。
一読お勧めします。 講談社文庫。574ページ。 950円(税別)